魅惑の白い粉と倉庫の番人

報告書番号:2011-12-06

魅惑の白い粉

ディメント魔法局の依頼でデルティス大蔵室へとやって来たのだが、ここに来て魔物たちの強さが大きく上がったように感じられた。単独での探索の場合、これまで以上に慎重な行動が求められるだろう。
またダンジョン内で出会ったマイティードッグと名乗る盗賊から"塩"を手に入れてほしいという依頼も受けた。なにやらこのダンジョンを根城にしているファイアークラッカーなる盗賊団がその倉庫に大量の塩を隠し持っているらしいのだ。つまり、私に盗賊の真似事をしろと、そういうことらしい。
ちょうどギルドからもこのファイアークラッカー団の討伐依頼があることだ。恐らくこの塩は彼等の資金源にもなっているのだろうから、これを奪うことは彼等に打撃を与えることに繋がる。少々気の進まない依頼ではあったが引き受けることにした。
とはいえ、盗賊のように足音を立てない仕事はやはり私には向かないようだ。盗賊団の一員、ノービスファイターから手に入れた倉庫の鍵を使って正面から堂々と入らせて貰うことにしよう。

しかし、このときの私には知る由もなかった。
・・・・・・あのようなおぞましい魔物が倉庫の番人をしているなんて。 

倉庫までの道のり

はじめは苦戦していた大蔵室の魔物だったが、戦い慣れてきたのか今では余程の数に囲まれでもしない限り危険はなくなった。
単純な動作しかしないビートルは二度ほど殴ってガードという戦い方をしていればダメージを受けることはほぼないし、俊敏さが特徴のローグには力で押し切る方法を取っている。ただ二人同時にかかられた時にはディバインアーマーで安全策を取ることにしている。三人まではぎりぎりどうにかなるが四人にかかられた場合無事でいられるかはわからない。
ノービスファイターは、力は強いがこちらの動きを封じるような特殊技能は持ち合わせていないようだし、どちらかといえば単純な動作なので攻撃を見切って回避とガードを織り交ぜながら戦えばそれほど恐れる相手ではない。・・・・・・恐ろしいといえば、彼のことだ。
残酷さを象徴したような大斧を構え、迷宮の処刑者を思わせる風貌をした、人なのか魔物なのか判断のつかないこの者は、名をデスキャリアーと言う。
以前にこの場へ来た時は広場で知り合ったヒューマンの剣士殿と一緒だったが、あの時は二人してこの姿に圧倒され、冷たい汗が流れたのを覚えている。
しかし今はあの時ほどの恐ろしさは感じていない、少なくとも脚の震えはないようだ。その理由は広場の冒険者たちの会話にあった。強大な力を持つ魔物はその身から禍々しい紫色のオドを発しているそうなのだ。つまり、このデスキャリアーは見かけほどではないのかもしれない。下水道の銀毛の亜人や遺跡の大男と同じ手合い。というわけではないということだ。
戦うことを決心した私は棍棒の柄を握り締め挑みかかる。
戦闘が始まると、確かに一撃一撃は重たいが、自己回復手段を持つプリーストであれば時間をかけつつ倒せるように思えた。
しかし突然、体の自由がきかなくなった。何をされたのかわからなかった。スキルを使われたような挙動は見られなかったのに体が動かずヒールも使えない。何か不可解な攻撃をされたようだ。更に、戦闘の音を聞きつけたのかローグまでもが襲ってくる。
体に自由が戻ったと同時に後退し距離を置いてディバインアーマーを展開させヒールで回復する。目前には大きな斧とローグが迫る。
まだ、あのよくわからない行動不能攻撃さえ受けなければなんとかなる。何かスキルを使う動作があるはずだ。次は、慎重にそれを見極めなければ・・・・・・。
しかし、またもや謎の行動不能攻撃を受けてしまう。もしかしてこの行動不能はあの大斧の通常攻撃を受けると一定確率で発生するのだろうか。今でこそ強気な文章となっているが戦闘の際の私の頭の中は、ここで死んでしまうかもしれないという負の感情に囚われていた。そのため見落としがあった可能性も否定できない。
しかし、どうやら幸運に恵まれていたらしく気が付けば地に伏していたのはデスキャリアーの方だった。もしたった一撃でも行動不能中にローグから攻撃を受けていれば冷たい床の感触を味わっていたのは私のほうだっただろう。
ふと、デスキャリアーの倒れた場所に何かの欠片が落ちていることに気付いた。私に鑑定術は備わっていないのでこれが何かはわからない。高価な物であれば良いのだけれど。危機と引き換えに手に入れた物に特別な期待を寄せるのは私だけではないと思う。

倉庫の番人、ドライコープス

塩を保管しているらしい倉庫の前までやってくると鍵を使って中へと進んだ。
ここに入るのはこれで二度目になる。初めて訪れたときはあのおぞましいアンデットモンスター、ドライコープスに苦戦し撤退する事態となってしまった。まさかある程度時間が過ぎると決戦者の間の外に出されてしまうとは思いもしなかったのだ。これも水晶の魔力なのだろうか?(この制限時間については後々調べてみても良さそうだ)

さて、ドライコープスの討伐作戦だが今回も以前と同じく一撃離脱戦法で十分だと思う。前回の失敗は時間に制限があることを知らなかったため慎重に動きすぎたことだ。今回は攻撃の間隔を狭くして行う。
その方法は、決戦者の間の壁全て、四辺を利用する。攻撃は棍棒の一振りのみで当たろうが外れようが一振りしたら後ろへ下がる。これを壁伝いに続けていくだけだ。
攻撃の機会は、常にドライコープスを眼前に捕らえ、ドライコープスがこちらの棍棒の射程に入る少し手前で空振りするような間隔で攻撃を行う。上図の(2)の位置に相手が進んだときにこちらの一振りが終了しているのが望ましい形だろうか。これが相手を殴るつもりで棍棒を振ってしまうと同時に相手の攻撃圏内に入ってしまい手痛い一撃を受けてしまう。一撃で済めばよいのだが、群れで襲ってくるため、ダメージ後の硬直状態の時に攻撃の波にのまれると瞬時に100以上のダメージを負ってしまう。私は集中力が高い方ではないので何度も瀕死になることが多かった。同様に苦手な者は広間にある柱にドライコープスの群れをぶつけるように立ち回ると良いかもしれない。柱にぶつかって群れが分断された隙を狙って広間の中心に向けて反対側の壁まで進めば柱の内側に分断された群れだけを誘うことができる。尤も、前回はこの方法で戦っていたら制限時間を過ぎてしまったわけで、有用かどうかはわからないのだけれど。
集中力さえ切らさなければこの方法で一度も相手の攻撃を受けることなくドライコープスの討伐が可能なのだが、前述した通り私は集中力が続く方ではないので相手の攻撃を受けることが多くMPも徐々に失いつつあった。MP回復のためキャンプを張る場合は、まず四隅のどこかで武器を収め待機し、ドライコープスの群れが近づいたところで一気に次の角まで走りキャンプを張る。幸いなことに彼等の移動速度はひどく遅い。彼等が再び近づくまで少々だが回復時間を稼げる。追いつかれた場合はキャンプから離れた場所まで誘導してすぐにキャンプまで戻れば僅かだが回復できるだろう。

この方法で無事ドライコープスを討伐することができた。そして例の塩はドライコープスのドロップアイテムだったようだ。てっきり、この後で倉庫へ進むものだと思っていたのだけれど違ったようだ。

この後マイティードッグに塩を届けると、今度はそれをメタルジャンク団なる盗賊団に売りさばくよう頼まれた。売値は10,000ゴールドを希望しているが・・・・・・。それはさておきメタルジャンク団という名前には聞き覚えがあった。そうだ、これもギルドから討伐の依頼を受けていたものだ。彼等の実情を探るいい機会かもしれない。
メタルジャンク団の件に関しては改めて報告書を送達する。

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