欲巣の地図作り

報告書番号:2011-12-09

ドゥム・スピーロウ・スペイロウへ

永遠の海原へと続く港に着くと”エゥオニー”と名乗る男性を探した。
彼が例の迷宮、”ドゥム・スピーロウ・スペイロウ”まで案内してくれるという話だ。
船着場にその彼、エゥオニーはいた。長い銀色の髪に黒の外套をまとっていて高貴な印象を与える風貌だが、その顔は仮面に隠されていて表情を読むことは出来ない。
一通り話を聞いて、いよいよ”ドゥム・スピーロウ・スペイロウ”へ向かうときがきた。一体どのような迷宮なのだろうか。これから恐ろしい場所へと向かうというのに私の方はというと少し楽しさを感じていて、実に呑気なものだった。

欲巣の主

そこはまるで神話に出てくるような異界の地のようだった。
通路を進んでいくと広間に出て、そこには五人の黒衣の男が立っていた。
エゥオニーが言うには彼等一人一人が何らかの試練を冒険者に挑ませ、見事その証を示した者に力を授けるという話だったが・・・・・・。
ともかく私は入り口から一番近い黒衣の者に話しかけてみた。 欲巣の主と名乗った黒衣の者から与えられた試練は”夢の欠片”を集め”欲巣の鍵”を手に入れるというものだ。
奥へ進もうとしたところで彼から助言を受ける。

”【「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨】はダークゾーンに覆われている”

一体なんのことだろうか? 謎かけの類だろうか。
少し気に放ったが私は最初の試練の地、欲巣へと向かった。

強すぎる魔物

欲巣に入り通路を進んだすぐの場所でいきなりショートソードを持った小鬼のようなモンスターに襲われた。
これが外見に反して恐ろしく強く、私の攻撃など1や2しか与えられないのに対し向こうの攻撃は50以上もあるのだ。
なんなのだろう、この強さは。
どう足掻いても勝てないと感じた私は人のいない場所へ誘導し引き離せるか試みるも、魔物の移動速度の方はその外見通り素早い。

とうとう私は、冒険者として最も無様な、逃げる背を斬られその場に倒れこんでしまった。
遠のく意識の中で、地を這い回る虫たちが寄ってくる姿が見えた。いやだ。私の身体はこんな暗い場所で、人知れず虫たちに食べつくされてしまうのだろうか・・・・・・。

欲巣の地図作りを始めて

女神像までやってくると、私の他にも魂となった冒険者の姿が見えた。
それを見た私の中に「もしや?」というある推論が浮かんだ。その件は後述するとしてモンスターが去り、落ち着いて迷宮を見渡すととにかく暗い。数歩先ですらぼんやりとしている。 助言にあったダークゾーンとはこのことだったのか。
私はトーチライトを唱え辺りを照らそうとするが特に変化があったようには感じられなかった。
仕方ない。辺りに気を配りながら進むしかないか。
そういえばこの迷宮には地図もないようだった。しかしあまりにも広すぎてどうマッピングすればいいのか見当もつかない。
魔物に気をつけながら私は壁伝いに進んでいくと原型を留めていない瓦礫の山を見つけた。
調べてみると、「痛いっ」・・・・・・尖った破片で手を切ってしまった。
でもなんとなくだけれどわかってきた。おそらくこの瓦礫の山がいくつもあってそこに夢の欠片が隠されているのだろう。
探索を続けているとやはり他にも瓦礫の山があり、そこでは夢の欠片【儚シ】を手に入れることができた。
なるほど瓦礫の山には当たりと外れがあって、外れにはトラップが仕掛けられているということらしい。
”夢の欠片を集めろ”黒衣の者はそう言っていた。ということはまだ欠片は他にもあるということだ。
先へ進もうとすると、しまった! 注意していた筈なのに! コボルトに見つかってしまった。
コボルトは小鬼以上の強さで一撃で100近いダメージを受け、私はあっという間に亜人の手にした短刀で切り裂かれてしまった。


・・・・・・魂になった私は今までにないくらい落ち着いていた。
この迷宮に棲み付いている魔物はありえないくらいにかけ離れた強さを持っている。
そしていくつもの冒険者の屍。
ここはそういった類の迷宮なのだ。死ぬことを前提した高難易度の迷宮、それがこのドゥム・スピーロウ・スペイロウ。
そうとわかると私には絶望どころか胸の奥から熱意のようなものが湧き上がってきた。
今は魂状態で魔物に襲われる心配はない。
私は何も書かれていない地図を開くと現在地を確認する。 このまま壁伝いにでも大雑把な地図を作ってしまおう。
そう決心すると自らの身体にしばしの別れを告げてその一歩を踏み出した。


(結果を先にいってしまうと私のこの判断は大変な間違いだった。現時点での私のレベルは9、ソウルランクは2のプリーストだったが、この迷宮に対する冒険者ギルドの難易度指定はレベル15。つまり、私が勝手に勘違いして盛り上がるという苦い恋慕のような結果が待っていたのだが、恋に夢中になっている多くの娘がそうであるように、この時の私にそれに気付けなどということは無理な話だった)

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