スラムにて…… 宿命の咎人たちの宴を終えて

報告書番号:2012-05-12

381年5月6日、私はスラムで行われたある催しに参加していた。
それは、ディメントの語られざる歴史となることは間違いのない事だろうから、この報告書に記すことはできない。詳しくはスラムの恐ろしい出来事を日々綴っているナツセさんの記録を読むことでわかるだろう。

私が口にできることといえば、そこでは多くの者たちが戦ったことだ。
特に、ある伝道師の男性。彼の最後の奥義はしっかりとこの胸に刻んでおいた。
たとえ、彼がそれを忘れても私がそれを忘れないだろう。

そして、陽が必ず沈むのと同じように、この夜会もやがて幕を落とすこととなった。
帰路につく私の腕にはいくつかのものが抱えられていた。

それは、伝道師から授かった指輪と。
下水にまみれても汚れることのない金色の髪を持つあるエルフの装備と。
鞄からあふれんばかりの金貨と。
そして、その金貨よりも光り輝く石。
これは、頑なに労働を拒んでいたある冒険者が決死の思いで磨きあげた宝石だ。


――余談だけれど。

後日、私は自分の指と二つの指輪を見ながらあることで悩んでいた。
一つはカートさんから、もう一つは伝道師の彼から貰った指輪だ。

まったく困ったことになってしまった。
これから迷宮の探索はどちらの指輪をつけていくべきだろうか。

これは無限の試練場をどう乗り越えるか考えるよりも難しそうだ。
思わずそう呟いていた。二つの指輪を見比べながら。

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